
異色の書である。
碩学が自らの分野のディシプリンを捨てて記述しているからである。
プラウトゥス、テレンティウスを死んだ文学としてではなく、
劇場という場で生きていた演劇として見ようというものである。
したがって、元ネタとなったギリシア喜劇との影響関係やら、
作者のオリジナリティなどは論じられない。
作者がどのように作品を観衆に提示しようとしたか。
その場であった劇場の論理が語られる。
いやはや大変興味深く読むことができた。
著者のスタンス・問題意識が明確なので読みやすく、
一般読者にも分かりやすく書かれているにもかかわらず、
過剰に時事ネタを駆使するといった変な阿りもなく、
品のある書となっている。
その一方、演劇というものに対する著者の愛が随所に窺われ、
そのような意味でも興味深い本だった。
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